覚えておきたい文学作品
本日は覚えておきたい文学作品の冒頭の文章を紹介します。皆さんも古文で習ったことがある作品ばかりです。沢山の方が、暗記したのではないでしょうか!!冒頭文というものはその作品を書いた作者がもっとも力を入れて書いている部分であると思っているので、その作者の書き方や表現力というものが、一番よく我々に伝わってくるのではないかと思うからです。もし下記の作品をしらない方でも冒頭文を読んで、興味をもってもらえたら・・その作品を読んでみてはいかがですか!!※沢山ある作品のほんの何作品かだけです。
【竹取物語】
今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、万の事に使ひけり。名をばさぬきのみやつことなん言ひける。
【枕草子〜清少納言】
春は、曙。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこし明りて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
【源氏物語〜紫式部】
いづれのおほん時にか、女御更衣あまた侍ひ給ひけるなかに、いとやむごとなききはにはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。
【平家物語】
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず。唯春の夜の夢のごとし。
【徒然草〜吉田兼好】
つれづれなるままに、日ぐらしすずりにむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
【坊ちゃん〜夏目漱石】
親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。小学校にいる時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事はある。
【羅生門〜芥川龍之介】
或日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。広い門の下にはこの男の外に誰もいない。唯、所々丹塗(ニヌリ)の剥げた、大きな円柱に、蟋蟀(キリギリス)が一匹とまっている。
【細雪〜谷崎潤一郎】
「こいさん、頼むわ。―」鏡の中で、廊下からうしろへ這入って来た妙子を見ると、自分で襟を塗りかけていた刷毛(ハケ)を渡して、其方は見ずに、眼の前に映っている長襦袢(ジュバン)姿の、抜き衣紋(エモン)の顔を他人の顔のように見据えながら・・・。
【暗夜行路〜志賀直哉】
私が自分の祖父のある事を知ったのは、私の母が産後の病気で死に、その後二月程経って不意に祖父が私の前に現れてきた、その時であった。私の六歳の時であった。
【伊豆の踊子〜川端康成】
道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨足が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追ってきた。
【雪国〜川端康成】
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。向こう側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落とした。